ベーシックインカム導入事情 スイス

ベーシックインカム制度は海外でも導入するかどうかの議論が行われています。 今回はスイスという国での導入事情を見ていきます。

導入をするかどうかの国民投票が行われた世界初の国

ベーシックインカム制度はデメリットも多く指摘されており、政府もそう簡単に導入しようという決断を下すことはできません。そんな中、2016年にスイスという国では世界で初めてベーシックインカム制度を導入するかどうかの国民投票が行われました。(限定的に取り入れている国はあるみたいですが、国全体の制度としては世界初のはずです。)

国民投票に至った経緯

スイスでは国民が署名を集めて議会に提出すればその法案に賛成するかどうかの国民投票を行うことができる制度があります。過去のスイスでは「給料に上限を設ける法律」「徴兵制の撤廃」などの国民投票が行われています。(この二つに関しては反対多数で通りませんでした。)

それが今回はベーシックインカムを導入を求める署名が集まり、国民投票が行われることになったのです。

制度の内容

内容はそれほど難しくありません。スイスに住んでいる国民一人一人に毎月2500スイスフランを条件付きで全員に支給するというものです。

2500スイスフランという金額は日本円に換算すると約30万円ほどになりますが、スイスは物価がかなり高いため、この金額はスイスの感覚で考えると「それほど贅沢はできない金額」となります。

しかし、この制度は本来のベーシックインカムとは決定的に違うところがありました。このベーシックインカム制度には支給されるための条件があったのです。

具体的には、「月給が2500スイスフランに満たない場合、足りない分をベーシックインカムで補てんして2500スイスフランをもらえるようにする」という条件です。この条件が付いた場合、スイスで働いている人たちはどうなるのでしょうか?

まず、まったく収入がない人はベーシックインカムをもらえますから、ラッキーな制度といえるでしょう。逆に月給が2500スイスフランを超えている人たちはこの制度の恩恵を受けることはできません。

そして問題なのが収入はあるけれど、月給は2500スイスフランに満たない人たちです。ここにいる人たちは頑張って働いても最終的にもらえるお金が2500スイスフランに固定されるため、働くやる気が低下するという問題があります。

スイスの平均月収は6000スイスフランくらいなのでベーシックインカムを限定的にでも受けることができる人はかなり限られてきます。

結果

国民投票は2016年6月5日に行われました。結果は・・・

スイスで5日、国民に一定額の現金を無条件に給付する「ベーシックインカム」制度の導入の是非を問う国民投票が行われ、賛成23・1%、反対76・9%で否決された。投票率は46・3%だった。

引用:スイス国民投票、「ベーシックインカム」を否決 – 朝日新聞デジタル

否決となりました。こうなった理由は、財源をどうするのかという問題をはじめ、先ほど説明したとおり、条件を付けたことによって恩恵を受けられる人があまり多くなかったことなどが考えられます。

何にせよ、スイスが世界で初めてベーシックインカムの導入国となることはなくなりましたね。

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