ベーシックインカム導入事情 ブラジル

ベーシックインカム制度は海外でも導入するかどうかの議論が行われています。 今回はブラジルという国での導入事情を見ていきます。

実はすでにベーシックインカムが導入されているブラジル

アメリカのアラスカ州においてはすでにベーシックインカムのような制度が導入されていると紹介しましたが、なんとブラジルにおいてもひそかにベーシックインカムのような制度が導入されています。しかもアメリカのように地域限定ではなくブラジル全土が対象となっています。

それなら、世界で初めてベーシックインカムを導入した国としてブラジルの名が挙がりそうですが、あまり知られていないのはなぜでしょうか?

導入したはいいが段階的なものであり、進んではいない

ベーシックインカムを導入するにおいて避けては通れない財政問題がありますが・・・

実はブラジルは世界で唯一、ベーシックインカムを法制化している。2003年以来政権の座にある労働者党は、軍事独裁政権下で自由を求めて闘っていた人たちが中心になって結成された党で、政権についてすぐ「市民ベーシックインカム法」を制定した。ただしこれはベーシックインカムの段階的導入をうたった法律で、必要な税制改革がなされたのちに給付にいたるとされている。現段階ではボウサ・ファミリアという、所得制限付きの児童手当がその第一段階として導入されているだけである。

引用:なぜ今ベーシックインカムなのか 第5回:導入めぐる世界の動き 同志社大学・山森亮教授 – THE PAGE

残念ながら2016年現在においてブラジルはこの財源問題をクリアすることができませんでした。そのため「市民ベーシックインカム法」と名前こそベーシックインカムとついていますが、本来の構想とは違い、所得制限がついた児童手当が導入されているのみとなっています。

とはいえ、この児童手当も全く効果がなかったわけではありません。

法律の存在はブラジル国内の市民活動家を勇気づけ、その中には私財を投げうって、小さな村で自分たちで給付を始めた人たちもいる。筆者は2010年にその村を訪問してきた。予算の都合でそれだけで生活を送るに十分な額とまではいかないが、それでも筆者が出会った村びとたちは、子どもの将来のために投資したり、母親が中退していた中学校に行き直したり、と給付を受けて将来の夢を考えることができるようになったと語ってくれた。

引用:なぜ今ベーシックインカムなのか 第5回:導入めぐる世界の動き 同志社大学・山森亮教授 – THE PAGE

児童手当の存在は学校にいけない人が学校に行きはじめたり、子供のために投資するという形となって表れ、社会的によい効果を与えてくれています。

ベーシックインカムの問題点をどう改善していくかの判断材料になる

ブラジルのベーシックインカムは2003年に労働者党という政党が法律を制定させました。労働者党が与党になったのは2002年のことですので、かなりスピーディーに法律が通ったことになります(ちなみに、2016年現在労働者党は政権を握ってからずっと与党になっています)。

貧困などをなくすためにこういった法律を制定する一方で、財政やブラジルの未来のことも考えると、ブラジルのベーシックインカムはこういった形になったともいえます。

ヨーロッパで議論が進むベーシックインカムですが、一方でブラジルのこの状態もベーシックインカムのメリット、デメリットを語るには十分な判断材料となることでしょう。

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