ベーシックインカムと相続税について考えてみたいと思います。
相続税とは?
相続税とは、親族が死亡した時に死亡した人の財産が他の人に相続される時にかかる税金です。以前にベーシックインカムと所得税に関する記事も書きましたが、この相続税も累進課税となっており、相続される資産が多いほど税金がかかります。
相続税の算出方法はややこしい上にベーシックインカムの話と直接関係なくなるためここでは詳しいことは書きません。
ベーシックインカムを導入する際の財源問題を解決する方法の一つとしてこの相続税を増税するという案があります。
相続税による税収はどれくらい?
それでは、相続税による税収は歳入のどれくらいを占めているのかを見てみましょう。
・・・相続税という項目が見当たりませんね。その他の項目にまとめられているようです。
それでは、もっと詳しいデータを見てみましょう。
引用:相続税の課税件数割合及び相続税・贈与税収の推移 – 財務省
※この数値は贈与税の額も含まれています
平成28年で約2兆円ほどです。歳入全体から考えても約2%ほどと、あまり全体に占める割合が多いというわけではありませんね。これではその他の項目にまとめられてしまうのも納得がいきます。
相続税を増税してもあまり税収は増えない?
所得税の時と違って、相続となると金額が大きくなります。そして、一人ひとり相続される金額が大きく変わってきます。
フィデリティ退職・投資研究所という機関が相続人5500人を対象に実施したアンケート調査が記事のベースになっていました。
そのアンケートの結果、相続額の平均値は、3172万円だということです。世代間格差が叫ばれて久しいですが、やはり結構な額になるものだな、と漫然と考えていたのですが、良く考えてみればこれは平均値。年収の調査と同じで、こういったデータの平均値はそれほど当てになりません。なぜならば、年収の分布は、正規分布ではないからです。
実際、記事を読み進めてみると、ほぼ半数の割合で1000万未満だそうで、中央値は862万円ということでした。
つまり、少数の高額の相続額が平均値を押し上げているという事実があります。平均値と中央値の乖離の大きさは、格差の大きさを物語る一面もあるのでしょうか。
相続税は基礎控除額というものが存在し、相続人が一人しかいない場合でも3600万円の控除が受けられます(平成28年現在)。そのため、862万円という相続額では相続税がかかりません。相続税を払っているのは一部の富裕層だということが読み取れますね。
富裕層からの相続税を増税したり、相続税を払う人の相続額の基準を下げれば税収のアップが見込めますが、それほど多く税金をとれるのかという問題もありますし、相続額が低いほど相続トラブルが多いというデータもあることから、こういったことを行うことによってさらにトラブルが多発してしまう可能性も考えられます。
財源を確保するために相続税を増税するという方法はあまり有効ではないのかもしれません。
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