ベーシックインカムのデメリットの一つとして勤労意欲の低下が挙げられていますが、本当にそうなのか「高校生のアルバイト」に着目して考えてみたいと思います。
高校生がアルバイトする理由
高校生でアルバイトをする人の割合はどれくらいなのでしょうか?
高校生を対象に行われた「若年層白書2014」(an調べ)の調査によると、「バイト経験あり」と答えたのは、高校1年生27.5%、高校2年生43.8%、高校3年生55.8%でした。「バイトを経験したい」は、高校1年生63.1%、高校2年生49.5%、高校3年生36.5%という結果に。学年が高くなるほどバイト経験者も増え、低いほどバイトをしたいと望む人が増えるようです。
一方、バイトをしない理由については、最も多かったのは「学校で禁止されているから(50.9%)」で、約3割が「アルバイトをする時間がないから」、約2割が「受験期だから」という回答でした。
上記のとおり、高校生たちのバイトへの意欲はかなり高いことが見受けられます。バイトをしない理由も約半数が「学校で禁止されているから」という部分があるため、もしこれがなければバイトをする高校生はさらに増える可能性が高いと考えられます。
それでは、なぜこれほど高校生の人たちはバイトをしたがるのでしょうか?
働く必要がないのに働く高校生たち
生活の面でいえば大半の高校生は親に扶養されているため、働かなくても生きていくことはできます。バイトをする高校生たちはそれ以外の物を求めているのです。
調査結果からは意外にも、「お金」のためにアルバイトをしている若年層は少数派であることがわかった。
「お金」と回答した人も、「お金のありがたさを知ることができるから」「お金を稼ぐ大変さを知るため」といった理由をあげており、生活や遊びのためのお金を稼ぐというよりも、自分の金銭感覚を磨きたいという意識を持っているようだ。こうした背景としては、若年層は保護者等と生活基盤を共にしたり、仕送り等経済的な支援を得たりして、金銭的にあまり困っていないことが推測できる。
将来のためのことを考えて自分を成長させることが主な理由であり、むしろもっとお金が欲しいから働くという人は少数派といえます。
勤労意欲は低下しない?
それでは、この統計からベーシックインカムが導入されても勤労意欲は低下しないといえるでしょうか?
その結果はおそらくベーシックインカムが導入されて2~3年くらいではわからないといえるでしょう。ベーシックインカムの導入によって経済構造が大きく変わった場合、数十年後は高校生たちの動きも変わってくるかもしれません。しかし、「社会人になったら働くのが当たり前」という価値観はそう簡単に変わらないでしょうから、勤労意欲が低下するかどうかは長い目で見てみないと結論は出せないと思われます。
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